てのひら訪問看護リハビリステーション

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「最期の時、そばにいてほしい人」

今年の4月に癌を患っていた58歳の女性が旅立たれました。

17日間という短い関わりでしたが、Sさんの「生き方」「逝き方」は、てのひらに大切なことを教えて下さいました。

Sさんは死期を告げられてから、身の回りの整理もなされ、新しく引き継いだ24時間ヘルパー事業所の代表として、わずかな期間にもかかわらず後継者への引継ぎも見事にされました。

そして、Sさんの望みは、最期の時は、1年間お世話になったHヘルパーさんがいる中で逝きたいということでした。短い時間で自分の死を受け入れなければいけなかったSさんが最も悩まれていたことは、高齢の母親に自分の余命がわずかなことをどう告げたらいいのかということでした。Sさんは、私どもに「母のことをよろしくお願いします」と何度も言われていました。
そして、Sさんの望みは、最期の時は、1年間お世話になったHヘルパーさんがいる中で逝きたいということでした。

Hヘルパーさんは、Sさんが亡くなる前日の夜から泊まり込み、そばで寄り添われていました。
最期の夜、ご本人の状態を時間ごとにラインでHヘルパーさんと呉とでやり取りする中、下記の画像を送ったところ、ご本人とご家族さんが一緒に見て笑顔になったとのことです。

終わりが近づいている中でも、笑顔を見せることができるSさんの「いのちの力」に感動しました。(※この画像は、民間シェルター『あいめっせ』さんの壁に飾られていたものです)

翌朝、ヘルパーさん、母親、家族たちの見守る中で、穏やかに、穏やかに旅立たれました。ご本人が望まれていたように、お迎えの時間をヘルパーさんと共に過ごし、エンディングの時を愛する母親に抱きしめられ、障害を抱えながら母親と共に歩んだ58年の人生を終えられました。

見事な看取られ方でした。
死に対しての恐怖心もあったと思いますが、主治医に対しても冷静に「人は死ぬ時どんなふうになっていくのですか」と静かな声で聞かれていた姿がとても印象的でした。

いつも穏やかな笑顔で、回りの人にプラスのエネルギーを与え続け、良い心で人たちを引き付けてきたSさんの「魅力」は、言葉では言い表せないものがあります。

今回の出逢いは、「最期の時、そばにいてほしい人」をサポートできる「みとりナース」の役割は、とても大切だということに深く気づかされました。

令和3年 5月10日

呉 静恵